外耳道音響特性を用いた頭部状態認識手法

  近年着目されるイヤホン型ウェアラブルコンピュータ(ヒアラブルデバイス)において求められる機能の一つとして,手や視界を占有することのないデバイス操作機能があげられる. 本研究では,首,顎,顔の状態(頭部状態)に伴って外耳道が変形することに着目し,外耳道インパルス応答を測定することで頭部状態を認識する手法を提案した. 提案手法ではマイク内蔵型のイヤホンでの利用を想定し,イヤホンから測定信号を発信する.反射音をマイクで取得し解析することで,外耳道伝達関数を求める.頭部状態によって得られる外耳道伝達関数が異なるため,この特徴を利用してユーザの頭部状態を認識できる.



足音を用いた路面状況認識手法

  路面状況は天気によって大きく変化しやすく,思わぬ事故の原因となることも多い.例えば,降雪路面やぬかるんだ路面では転倒の危険性が高まる.これらの路面が事前に把握できていれば,適切な靴を選択したり,違うルートを選択するなどして,危険を回避できる. そこで本研究では,路面状況によって足音が変化することに着目し,靴に装着したマイクを用いた足音による路面状況認識手法を提案する. 認識した路面状況を地図アプリ等に反映することで,路面状況を事前に把握し,危険を回避できる環境の構築を目指す.



マイクの部分遮蔽を用いた超音波によるジェスチャ認識手法

  本研究では,デバイスに搭載されているマイクとスピーカを用いた,超音波によるジェスチャ認識手法を提案する.スピーカからは超音波を発信し,手などの対象から反射された超音波をマイクで取得する.対象の動きにより発生するドップラー効果を用いて,ジェスチャを識別する. さらに,マイク部に取得する音響特徴が変化するようなカバーを装着し,従来の超音波による手法では困難であったジェスチャの識別を可能にする.本手法では,デバイス内蔵のマイクとスピーカを利用するため,ジェスチャ認識のための追加のデバイスが必要ない.また,3D プリントされたカバーを用いて音響特徴を変化させるため,ジェスチャ識別能力拡張のために電力を消費する追加のデバイスが必要ない.



アクティブ音響センシングを用いたジェスチャ認識手法

  本研究では,対象物に音響信号を流し,その伝播応答から対象物の状態を識別する,アクティブ音響センシングを人体に適用した手法を提案する.ユーザは身体にコンタクトスピーカとコンタクトマイクを装着する.スピーカから超音波を発信し,体を伝播した超音波をマイクで取得する.身体の姿勢や動作,力の入れ具合によって超音波の伝播特性が変化し,ユーザの姿勢,ジェスチャ,力の入れ具合等が単一のセンサで取得できる.



動作・人物・場所情報の超音波を用いた音声データへの埋め込み手法

  本研究では,超音波によってユーザの行動,周囲に居る人,現在居る場所などの情報を取得し,ボイスレコーダなどの音声記録に埋め込む手法を提案する. ユーザはマイクと超音波を発する小型スピーカを装着し,距離を表すこれらの音量の変化と,ジェスチャの速度を表すドップラー効果を利用してジェスチャを認識する.また,環境や人に超音波を発信する小型スピーカを装着することで,ユーザがどこにいたか,近くに誰がいたかという情報も同時に記録する. 提案手法では,これらのライフログデータが全て音声データに集約される.